2008 学生懸賞論文入賞作品(4編)

2008 学生懸賞論文入賞作品(4編)

入選

該当作なし

佳作

「シアバター市場の問題点とその可能性」
言語文化学科3年 飯塚 潤美 要旨はこちら

「「性」の多様性に関する批判的考察」
言語文化学科2年 大野 弥生 要旨はこちら

「日本的ボランティア活動の諸相とその問題点」
言語文化学科3年 金 美智子 要旨はこちら

「歩行者天国におけるパフォーマンス行為の取締」
法律学科4年 斉藤 健一郎 要旨はこちら

<佳作>
「シアバター市場の問題点とその可能性」
外国語学部 言語文化学科3年 飯塚 潤美

 本論では、最近市場で出回るようになってきたシアバターをテーマにした、グローバル経済下での問題点を指摘しつつも、それが長期的に見て地域の人やモノを活性化し、アフリカの成長につながる力を秘めていると述べた。
シアバターとは何かという素朴な疑問から、自分の生活と世界がどのようにつながっているのかに興味を持った。初めにシアバターとは何かを調べ、アフリカサバンナ地帯特有のこの植物が世界の市場へどのように拡大したかを述べた。その過程で、それを促した要因に現代社会の人々の志向の変化を指摘し、またフェアトレードとの関係についても触れた。経済のグローバル化によって新たな問題が浮上している現状を批判的に見る一方で、本当の国作りは地域作りから始まるという考えの下、アフリカの地域経済を支えるシアバターへの期待を述べた。

<佳作>
「「性」の多様性に関する批判的考察」
国際教養学部 言語文化学科2年 大野 弥生

 本稿では、同性愛と性同一性障害を例に、この社会が抱える根本的な問題を指摘しつつ「性」の多様性について考察した。
これらふたつの概念の説明と歴史的な歩みを概観すると、それぞれが「性」のありかたの一形態であることがわかる。それにもかかわらず、「疾患」として位置づけられているこの背景には、「性」というものを男と女の二つだけで考える「性別二元論」や、恋愛の形態は異性愛のみを正常とする「ヘテロセクシズム(異性愛主義)」的視点で物事を判断する考え方があり、これこそが根深い問題である。個人の自由な選択とその多様性を尊重していくためには、その問題に各自が気づき、理解を深め、認めていくという姿勢が必要である。

<佳作>
「日本的ボランティア活動の諸相とその問題点」
外国語学部 言語文化学科3年 金 美智子

 一般的に、社会に良い影響を与えるような活動や団体を「ボランティア」として認識する傾向が強いと感じる。このような認識は何故生じるのか。また、社会貢献の主体としてボランティアは十分なのか。本稿ではこれらの問いを足がかりとして、多様な社会貢献の必要性を論じた。
まず、ボランティアの語源や古典的定義を整理した上で、現代日本における「ボランティア」の再定義を行った。次に日本的ボランティア活動の傾向として、①奉仕活動と同義のボランティア活動②免罪符としてのボランティア活動③「三ちゃん」によるボランティア活動④ブームとしてのボランティア報道を挙げ、これらの傾向から生じる問題点を5つ挙げた。
ボランティアにはこのように問題点もあるため、「社会的な活動=ボランティア」というような一面的理解ではなく、多様な社会貢献活動の必要性を認識し、自らその主体となれる市民を拡大すべきであると述べた。

<佳作>
「歩行者天国におけるパフォーマンス行為の取締」
法学部 法律学科4年 斉藤 健一郎

 交通関連法令によれば、道路とは主に交通のためにあり、従って、それ以外の私的な利用は、交通の妨害とならないように規制を受ける。道路の設置?適正管理は生活の利便性を向上させるが、反面、それに伴う法的規制は自由な空間を侵食していく。実際、秋葉原の"ホコ天"では、単にコスプレをしているだけの者さえ取締を受けた。
本稿は、かかる取締事例を素材に、道路空間のあり方について批判的検討を加えた。そして、道路が、専ら公的空間としてのみならず、私的な生活空間との連続性を有する場でもある(移動するためだけにあるのではない)ことに着目すれば、「まちづくり」の観点から規制が行われるべきであると主張した。

 

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